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日本の海賊

新年あけましておめでとうございます。

今年の干支は酉(トリ)。

トリは「取り込む」に繋がるといわれ、そこから運気もお客様も取り込め、酉年は「商売繁盛につながる年」といわれるそうですね。

ぜひ良い1年にしたいものです。

 

昨年末に話題の映画『海賊とよばれた男』を観てきました。

百田尚樹原作の大ベストセラー(420万部突破)を『ALWAYS三丁目の夕日』の山崎貴が監督、ジャニーズ(V6)岡田准一主演で描いた大作。

原作・監督・主演ともにあの『永遠の0』で高い評価を得たメンバーがまたこの作品で再集結したわけです。

とりわけ主演の岡田准一くんはもはや「ジャニーズのアイドル」のイメージをとうに凌駕してしまいました。

『永遠の0』で静かなる狂気の零戦パイロット宮部久蔵を演じきった姿も瞼に焼き付いていますが、本作の主人公国岡鐵造に憑依したかのような迫真の演技に涙しました。

 

戦後何もかも失った石油元売り会社国岡商店。

わずかに残った店員を前に、店主である鐡造は「愚痴をやめよ、愚痴は泣きごとである。亡国の声である」「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからと言って、大国民の誇りを失ってはならない。すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる日が来る」と訓示を述べました。

また戦後の混乱期で何も売る商品がない中でも社員誰一人として首を切らないと宣言し力を合わせて窮地を乗り越えてきたこと、圧倒的に不利な状況下で欧米の石油メジャーと闘い自立の道を切り開こうとする姿、その決断力、行動力とリーダーシップに胸を打たれました。

迫力が違います。カッコいいです!

 

岡田くんが演じた主人公国岡鐵造というキャラクターとその物語があまりにも魅力に満ち溢れているので、実在のモデルとなった出光興産創業者・出光佐三氏のことが気になり、少し調べてみました。

日曜日の朝9時から放送している『題名のない音楽会』は1964年から(私の生まれた年だから・・・なんと53年も)続いているクラシック番組としては世界最長寿番組だそうです。

スタートから現在までスポンサーは出光興産一社提供。

通常30分番組は15分程度で中途にCMが入りますが、この番組に限っては最初と最後の提供コール前後しかCMは入らず、本編は通しで放送される構成となっています。

これは創業者出光佐三氏の「芸術に中断は無い」との考えに基づいているそうです。

こんなエピソードからも出光佐三さんのスケールの大きさや本当の優しさが垣間見えます。

 

戦後71年と5カ月。

敗戦後の復興や現在の平和は、こうした勇気ある先達が命がけでこの国の自尊心を守り、道を切り開いてくれたからこそあります。

経済的な豊かさと引き換えに失ってしまった?「日本人のこころ」を映画の中にしっかりと感じながら、新年の誓いを新たにしました。寝正月の本日は岡田くんの抑制した渋い演技が光る傑作時代劇『蜩ノ記』(2014年、役所広司と共演)のDVDを観てまた感動に浸りたいと思います。

今年も素晴らしい1年になりますように。