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便利さの功罪~テクノロジーの発達と人間の幸福

 『dマガジン』ってご存知ですか?

ドコモが提供しているネットサービス(アプリ)で、月額僅か432円で人気雑誌180誌以上の最新号(バックナンバーも併せると1,300冊以上)がスマホやタブレットで読み放題のサービスです。

経済誌だけでも週刊ダイヤモンド、エコノミスト、東洋経済、プレジデント・・・、他にも東京カレンダー、おとなの週末、Tarzan、BRUTUS、LEON、週刊誌も文春、新潮、ポスト、現代ほか多数。とっても重宝しています。

もちろん女性誌もHanako、STORY、VERY、anan、CanCamはじめ盛りだくさんです。

  

私は活字を目で追うのが大好きです。

新聞は毎朝3~4紙を眺め、毎月読む書籍は2〜3冊、雑誌も毎月4,000~5,000円ぐらい買っていたでしょうか?

それが『dマガジン』登録を境に雑誌を殆ど買わなくなってしまいました。

こんな人、世の中にたくさんいるのでは…?

便利なのは助かりますが、いくら大勢の会員がいても432円の月会費を180社(誌)で割ってそれぞれの経営が立ちゆくとは到底思えません。

大勢のクリエイティブなライターさん、写真家さん、編集者さん、印刷屋さん、配送業者さんの仕事がこのままでは無くなります。

雑誌社さん達は何処へ向かおうとしているのでしょうか?

活字好き、読書好きの日本人の文化は供給側のミスリードで将来変質してしまうかもしれません。

未来は読みたい雑誌がこの世から消えて無くなるのかも?もっとも新聞業界も全く同じ構図ですが…。

 

先日の野村総合研究所の発表(予測)によれば、2030年には人間の仕事の49%がAI(人工知能)にとってかわられる可能性があるとのこと。

 

故チャップリンの名作『独裁者』ラストシーンでの演説はあまりにも有名ですが、その中でこう言っています。

「私達はスピードを開発し、自分たち自身を孤立させた。ゆとりを与えてくれる機械により、貧困を作り上げてしまった」。

また、故立川談志師匠の著書『最後の落語論』には、「<文明>とは、その時代々々の最先端であり、より速く、より多くを求めるもので、それに残されたモノに光をあてたものを<文化>という。文明は文化を守る義務がある。」とあります。

  

テクノロジーの発達やサービスの追求は、本来「人間の幸福」に繋がるものでなければなりません。

「スピードの追求」、「低価格の追求」、「便利さの追求」が決して私たちの未来の幸福に直結しているわけではないことを私たちは自覚すべきです。

何事もバランスが大事。

極めて個人的な意見ですが、私には深夜のテレビも、24時間営業のレストランも、元旦のお店の営業もいりません。

子供の頃は何もありませんでした。

でもけっしてそれが不幸ではなかった。

便利さに慣れ過ぎることで、現代人は「忍耐」「節度」「謙虚」などの美徳を失ってしまったのかも、あるいは失っていることすら気付かなくなっているのかもしれません。

 

 

この原稿は、サザンの歌詞にも出てくる逗子海岸・渚(なぎさ)橋にある「なぎさばし珈琲」のテラスで、心地よい海風を肌で感じながら書いています。

ここのレストランでは『dマガジン』でも読める雑誌(ホンモノ)が本棚に所狭しと並び、私達を歓待してくれます。

青空の下、テラスで潮風を浴びながら珈琲を片手にゆっくりと雑誌をペラペラめくる。

こんな生活、いつまでも大事にしたいものです。