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監視社会の恐怖と映画が伝えるメッセージ

 『シチズンフォー スノーデンの暴露』という映画をネットレンタルで観ました。

2013年6月、アメリカ政府が極秘に世界中の個人のSNS、メール、通話を監視し情報収集していた事実を告発し、世界に衝撃を与えたNSA(アメリカ国家安全保障局)とCIA(中央情報局)の元局員エドワード・スノーデン氏を追ったドキュメンタリーです。

 

 CIAの存在はその昔から有名ですが、NSAも昨今の米スパイ映画によく登場するようになり、その存在感が増しています。

私が初めてNSAの存在を知ったのは1998年公開の映画『エネミー・オブ・アメリカ』(ウィル・スミス、ジーン・ハックマン主演)。

個人のプライバシーをNSAが監視している米社会の現実(設定?)があまりにも衝撃的だったのでよく覚えています。

 

話は戻りますが、かつて日本の横須賀でも勤務経験があるスノーデンは、日本に対して警告を発信しています。

将来的に日本がアメリカの同盟国でなくなったときのために、スパイプログラムを送電網やダム、駅や発電所、銀行などに組み込んであり、いざとなれば日本中のインフラを機能停止に追い込むことができると・・・。

 

外国首脳への長年にわたる盗聴など、スノーデンが世界に告発した問題は地球規模で相当大きいはずですが、それにしてもなぜか世の中で(とりわけ日本では)大きな話題にならない。

意図的とも感じられるほどメディアで深く報道されないし、追及されない。

だから余計に恐怖を感じるのです。

日本もすでに手遅れなのでしょうか。

 

 

映画はエンターテイメントではありますが、時には語られない真実を製作者がエンタメの衣に包んで世に問うことがあります。

例えば、アメリカ同時多発テロ事件の謎にフィーチャーしたマイケル・ムーア監督の「華氏911」(2004年公開)。

本当にサウジのテロ集団の仕業だったのか、だとしたらなぜイラクへ侵攻?大量破壊兵器問題は?謎は尽きません。

真実をもっともっと探求したくなります。

 

「プラトーン」「7月4日に生まれて」でベトナム戦争の功罪をまっすぐに世に問うた社会派オリバー・ストーン監督が、若手実力派ジョセフ・ゴードン=レビット主演で『スノーデン』のタイトルで映画を製作し、本年1月27日より日本でも上映が始まりました。

残念ながら私はまだ観ておりませんが、同監督の鋭い視点で描く本作がまた新しい知識欲を刺激してくれそうな気がしています。

 

監視された社会で安全?に暮らすか、個のプライバシーが尊重された社会で主体的に生きるか。

知らされる(情報操作を経た)うわべの情報だけで慎ましやかに暮らすか、真実に刮目し自ら進む道を選択するか。

映画を通じて視野を広げるのもまた楽しみのひとつです。 

 

「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」もおすすめ。

本は全3巻、映像もNHK-BS1でスペシャル番組(全10作品)として放映されたそうで、DVDやネット上で観ることができます。

こちらもいかがでしょうか。